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アトリエ・イグレック
(2013年度)


■横浜「ベッカライ徳多朗」徳永久美子氏による「食べて楽しむ会」開催
8月 横浜の会
2014年8月26日(火)(report13)


 「人生の後半を迎える節目に、ロデヴに出会って、本当によかった、感謝です」
これは、横浜で行列が出来る店として名高いベッカイ徳太朗の女性主人徳永久美子さんのお話です。ふとしたことから仁瓶さんのロデヴに出会い、作り始め、仁 瓶さんの直接指導もうけ、どんどんはまって、このパンだけは自分が仕込む、と決めています。
 少し前、体を壊して「どうしよう」と思っているとき、中3の息子さんが言ったとか。「ロデヴ、焼けよ」。そうだ、自分はお客様のためにパンを焼いてるんだから、ロデヴを待ってくれている人がいる以上、作らなくちゃ・・・・。



少し、すごしやすく日が翳った夏の休日。店は定休日なのにスタッフの多いこと。皆さんこの日を楽しみに前日から力を入れて準備し、この日はボランティア出勤だとか。それだけに、皆さん顔がニコニコを超えて、ハリのある生き生きした顔立ちで、しっかり「参加」していました。


今回のすばらしいところは、この店の地元ファンもたくさん来てくださり、「久美子さんのロデヴ、お料理、最高でした」と何人も、久美子さん、とアンケートに書くフレンドリーさ。ひとえに久美子さんのお人柄なのでしょう。

もともと、地元に愛されているところに、ロデヴを週1回登場させてみたら、お客様から「美味しいパンを焼いてくれてありがとう」とわざわざ言われたという 話を披露したのはドンクの顧問でありロデヴの会の技術顧問でもある仁瓶さんです。「こんなことを言ってもらえる店は、そうそうないですよ、ドンクにはな い」

人の心を揺さぶる力のあるパン・ド・ロデヴ。
このパンとの調和を試して欲しいと用意された料理はまず、トム・ド・サヴォワ。



続いてパテ・ド・カンパーニュにきゅうりのピクルス、にんじんサラダ、じゃ がいものローズマリー焼きなど、オリーブオイル料理満載のワンプレート。続いてかつおのオリーヴオイルマリネ・生こしょうのせ、カラヴリア風皮付き豚肉の 煮込みなどと続き、最後はロデヴのラスクと栗ジャムが添えられたミルクソフト・コーヒーソースです。



会は、ロデヴの「作りだしっぺ」の仁瓶さんによる「ロデヴ物語」が加わったことで深みが増し、いつまでもにぎやかで楽しい会となりました。


「第二弾、やろう。涼しくなったらスープと、ぜひ」。それはいつかお約束のような会話になって、みんなニコニコ、満腹のおなかを抱えて帰路につきました。
(報告:松成容子 写真:菅原史子カメラマン)





■京都「たま木亭」玉木潤氏による「技術講習会」と「ロデヴを食べて楽しむ会」を開催
8月 京都の会
2014年8月4日(月)(report12)

じっとしていても汗がでてくる暑い夏の日に、京都麻袋のラボをお借りして、技術講習会と食べて楽しむ会を開催しました。

講師は京都「たま木亭」の玉木潤シェフ。さらには当会技術顧問の仁瓶利夫氏がアシスト役に回ります。
 
毎回、たくさんの方にご参加いただいている会ですが、今回は「講演の9割は断る」とおっしゃる玉木シェフが講師とあって応募が殺到。急遽、定員枠を大幅拡大しての開催となりました。
 

玉木シェフはドンクに在籍されていた時に仁瓶さんと知り合われたそうです。

午前の技術講習会では、パン・ド・ロデヴとパン・コンプレを仕込みながら、玉木シェフにより、解説がされていきました。
 

たま木亭のロデヴは、同店でも人気の高いカンパーニュを展開させたもので、食べた後、ルヴァンの香りが鼻に抜けていくイメージで作っているとのこと。またクラムの芳醇なうまみやクラストのうまさなど、味わいの重なり、厚みを感じて欲しくて開発したそうです。

一方、パン・コンプレは、北海道の石臼挽き小麦を配合して同店では「十勝コンプレ」として販売しているもの。全粒粉、ルヴァン種は使っているものの、臭みはなく、すっきりとした味わいに焼き上がっています。

今回、この2つを作ったのは、ともに高加水の生地であり、ルヴァンを使用し、灰分の高い粉を使用していながら、どれだけ味の違いが出るか、皆さんに実感して欲しかったからとのこと。

春にテレビに取り上げられて以来、1日100万円ペースの商品を作り続けながら、これだけ手間のかかる商品(それぞれにフリュイもある)もダイアグラムに 組み込んでこなしている話を聞きながら、解説役の仁瓶さんは「やる気次第だということを証明している」と力説していました。

玉木シェフは、作業性だけでなく、生地の甘み、うまみなどいくつもの利点から生地をとても長い時間(48時間、72時間)冷蔵庫で寝かせたり、全粒粉も熱湯で処理した後、長時間かけて寝かせるそうです。


「パン作りの正しい軸を知っていなければならない。軸を知らないと工夫も何もできない」
「パンはこうというやり方はない。自分でやって、焼き上がりをみて、足し算引き算で自分のパンを作る」
「パンはしっかり水分をとばす。水分が多く、もちもちしているのがよければ、餅を食べればよい」
など玉木語録が飛び出します。

午後からは「食べて楽しむ会」。ここからさらに参加者が増えます。
玉木シェフはこの日のために合計33kgの粉を仕込んだとのこと。
かごに山盛りの焼きたてのロデヴのプレーンと栗とブルーベリー、またコンプレもプレーンのほかにレーズン、いちじく、くるみの入ったコンプレ・フリュイが各テーブルに配られます。
焼きたての幸せな香りに参加者から歓声が上がります。


 
最初はパンのみを味わう時間。何もつけずに焼きたてのパンを心ゆくまで堪能します。

そして、ロデヴと食事のマリアージュを楽しむ時間。
今回のお料理は岡山の野菜ソムリエ、前田眞子さんが担当です。

 生産者まで出向き、岡山の完熟桃やたくさんの野菜をお持ちくださった前田眞子さん

地元ご自慢の完熟桃から始まり、チーズとハム類、野菜料理がいっぱいのランチボックスが配られます。他にも夏を意識してタイ風のサラダ、パクチー香るトマトとココナッツミルクのスープも。
 

また静岡からは創作珈琲工房「くれあーる」の村松さんがお越しくださり、おいしいコーヒーを振る舞って下さいました。

ここで大山ハムの林田日香留氏によるハムについてのミニ文化セミナーが行われました。冬の厳しいヨーロッパで半年ちょっとで成長する豚を秋口にと殺して加 工、翌年の秋まで貯蔵できるハムや、屑肉も無駄なく使うために発達したソーセージの歴史が語られます。人々の貴重な蛋白源であり、パンと同じで人々の命の 糧であった話しには深くうなずかされました。
そして、仁瓶さんからロデヴの街訪問記、フランスパンについて歴史的な解説もありました。

この日はこのたび発売になった仁瓶さんの著書「Bon Pain への道」とともに玉木シェフの「うまいパンは語る」が会場で販売されており、最後にはサイン会、撮影会状態の一幕も。

プロの方、家庭製パン家、パンがとても好きな方など・・・「パンが好き、ロデヴが好き」という共通点で集まって催されるこの会。今後も、おいしいパンをみんなで分かち合えますように。
(報告:上田なつめ、松成容子、塚本有紀)



■金林達郎氏による「技術講習会」と「ロデヴを食べて楽しむ会&チーズセミナー」を開催
6月 東京の会
2014年6月2日 (月)(report11)

 大都会の近代ビルの中に、こつ然と存在するベーカリーラボ。このフル装備のカネカ食品の会場をお借りして、みたび、ロデヴの会を開催することができました。
一年ぶりの当会顧問・金林氏の会。氏のお店ボワドオル(千葉市緑区)では、いまや毎日ロデヴを焼いて、ほぼ残らず売れているというお話は頼もしい限りでした。

午前の技術講習会では、忙しい個人店でもロデヴの個性を見失うことなく作るポイントを披露。元帝国ホテルの金林氏のアシスト役を務めた現帝国ホテルの二宮 氏と、元部下だった山ア氏(現カネカ食品)とがスマートに作業を進めていく流れを見ながら、また金林氏とのやり取りを聞きながら、パンの世界の篤い師弟関 係にも心温まるものが感じられました。




焼き上がったプレーンと、ノア・レザン/切るときも、見事な三人の連携プレー





おいしそうな内相。中はしっとり、外はパリッ


午後の「食べて楽しむ会」では、「最初の15分は、ロデヴだけで食べてみて」とちょっと強引な(?)ロデヴの主役タイム。

今回は、ロデヴを真ん中に、チーズとワインにこだわって、それ以外のものは極力そぎ落としたメニューにしました。さらにチーズとパンの美味しい関係を、フェルミエの本間るみ子氏にたっぷりお話いただきました。
ロデヴの町が、青かびのロックフォールの羊乳を集めるエリアの一部に指定されていること、今でもロックフォールの一部の生産者はパンから青かびを育てていることなど、「パンとチーズって本当に近いんだ!」とうれしくなるお話が山盛りでした。

ロックフォールを崩してチコリに載せ、クルミをパラリ。これだけなのにすごく美味。

ほかにボーフォール・エテ(昨年夏仕込)、ピコドン。右は、砂糖漬けの 生姜が添えられてデザートのようなブリアサヴァランジンジャー。(全て、ロデヴの会の立ち上げから理事を務める本間さんのセレクトによる提案プラトー) 


ロデヴ、そしてパンとチーズとの深い関係にも実は詳しい金林さん


栗のはちみつと、春の花のはちみつ。これもロデヴと、そしてチーズとも。



岡野智子さん(アトリエ・カフェ・フィグ)によるレモンのスープ。さわやかな酸味、チーズと卵が入ったコク、さらに押し麦も入って、参加者に大好評 


ロデヴの町とロックフォールの産地を地図を使って説明する本間さん





■明石克彦氏による「技術講習会」と「ロデヴを食べて楽しむ会」を「めるころ」にて開催
5月 熊本・阿蘇の会
2014年5月8日(木)(report10)

 新緑がさわやかに光る熊本は阿蘇の外輪山の一角にある「めるころ」(原田雅之社長)で、ロデヴの九州会がいよいよ発進しました。

講師は、いままで世田谷の自店で「食べて楽しむ会」を繰り返し開いてくださっていたブロートハイムの明石技術顧問です。午前中の技術講習会には、地元熊本 からはもちろん、福岡、佐賀、長崎、宮崎、鹿児島さらには徳島からも参加者が集まってくださったうえに、午後の食べて楽しむ会にはさらに福岡などからの来 場者も迎えての大盛況ぶりでした。

講師の明石さんは、「日本でのオリジンは仁瓶さんですが、全く同じものを作ろうとしてレシピを眺めても無理。そもそも、仁瓶さんが毎回同じやり方をしてい ないし、言葉で理解するのには限界があります。つまり、その人の頭の中まで想像できるようにならないと、その奥が読めるようにはならないんですよ」と深い 話から始めました。そして「このパンは、作り手にとってもう一段階面白味のあるパンで、僕はこのパンに出会って人生が深まったような気がする」。さらに塩 の役割りは? モルトは?  種向きの粉は?  と質問を投げかけながらどんどん参加者たちをひきつけます。



午後からは、会場をカフェに移して「食べて楽しむ会」。カフェのガラス扉が大きく開かれ、テラスまでお客様は一杯。風と陽光に揺れる緑の木々が視界に入るシチュエイションは、おいしいものを食べるのには最高の環境です。
美味しいものの主役はもちろんロデヴ。待ちに待ったロデヴが焼き上がり、そして冷めていくほどにルヴァンの香りとしっとりとした食感がロデヴらしさを花開 かせます。そこに、新玉ねぎのサラダ,新にんじんのサラダ、オリーヴ、各種ハムの盛り合わせ、フレッシュからハード、白カビ青かびと全タイプがそろった チーズブラトー、そして「めるころ」オリジナルのチキンスープにワインとならんだのですから、おのずと会話が弾みます。


「焼き上がりのロデヴは感動的だった」「こういう欧風型のパンが九州にもぜひ」「パンを通じてこんなに人が集まるなんて驚き」「ぜひ、ぜひ、九州でもっとこの会の開催を」と熱い感想をいただきました。
ここまでの手配、準備、商品のご協力、そして休日返上で手伝ってくださった関係者すべての皆様に心より御礼申し上げます。

九州でのスタートをお手伝いいただいた株式会社丸菱の田口洋一郎さんに乾杯の音頭をとっていただきました。「思い」をテーマに人が動く、というお話が印象的でした。



テラスまで人がいっぱい。その向こうには春の緑が風に揺れていました。



■メルク 古山シェフによる「ロデヴを食べて楽しむ会」開催
4月 大阪・豊中の会
2014年4月26日(土)(report9)

関東で「ロデヴ普及委員会」がスタートしたとの声を聴いて、すぐに「我も」と関西で立ち上がってくださった方がいます。大阪は豊中市「メルク」のオーナーシェフ古山雄嗣氏です。
「ロデヴをもっと関西のパン職人にも作ってほしいんです。美味しさ、オリジナリティなどいろいろ理由はありますが、なにより、作り手の腕が上がるパンなん です。というのも、毎日水の入り方が違う、それを見極める、それだけでもやりがいのあるパンだということを、ぜひ、みんなに伝えたい」と、古山氏は地元の 専門学校で講習会をするときに、また東京でのロデヴの会にも参加して多くの人に声をかけてきました。

一方で、おいしくパンを食べる場の提案においても、古山さんは晩餐会になぞらえた「パン餐会」という素敵な会を長く開催してこられた実績があります。今回は、そのパン餐会とロデヴがジョイントして、大阪一円のパンの作り手・食べ手が多く集まってくださる会になりました。
ゲストは、当会顧問の仁瓶利夫氏。ロデヴのルーツや文化的背景の説明に、すでに自店で焼いている、というパン職人の方も、改めてこのパンへの理解を深めているようでした。



テーブルには南仏を意識したチーズやオリーブ、ワイン、さらにメルクカフェの皆さんによる素敵な春野菜のお料理が目白押し。そのうえこの日は、古山さんと ロデヴの心意気を応援してくださる料理人からの羊のローストの提供もあり、春の夜が深まるのも忘れていつまでも、いつまでも、ロデヴを楽しむ会になりまし た。

写真 お店には、おいしそうなロデヴと一緒にロデヴ委員会のパンフレットも一緒においてあります!  一人でも多くの方に、メッセージが届きますように




■仁瓶技術顧問による、第4回技術講習会と第7回食べて楽しむ会 開催
2014年4月15日(report8)

春爛漫の神戸にて、今年も日仏商事様のラボをお借りし、関西地方にむけての技術講習会と食べて楽しむ会が行われました。講師は当会技術顧問の仁瓶利夫氏(ドンク顧問)。

午前中に行われた講習会では、仁瓶氏による「パンの歴史」の話しも挟みながらパン・ド・ロデヴの作り方がデモンストレーション形式で披露されました。非常 にゆるくてつかみどころのなさそうな生地が、仁瓶さんの手で見事にパン・ド・ロデヴに焼き上がっていくのを見るのは、何度見ても不思議で感動的です。

四角く切ったロデヴ(プレーン)と胡桃・サルタナレーズン入り。トルデュ(ねじった)タイプとそのオリーヴ入り。細長く、大きく切りっぱなしにしたタイプ。そして、リュスティックとそのアプリコット入りも焼かれました。


午後からの食べて楽しむ会がスタートしました。イーストと自然酵母を使うパン・ド・ロデヴ、イーストで焼いたリュスティック、ルヴァンで焼いたパン・オ・ ルヴァンも用意され、「ぜひ、それぞれを食べ比べてみてください」とのお話が仁瓶さんよりあり、さっそく会食が始まります。

今回のテーマは「和食と合わせる」です。料理をご用意くださったのは、滋賀・伊吹町レストラン「ベルソー」の松田美穂子シェフ。仁瓶家のおからを再現して いただきました。昨年の同じ会で、パン・ド・ロデヴは和食とも違和感なく合わせることができるという話しの中で、仁瓶家のおからが話題に上ったことが発端 なのです。参加者からのアンケートでたくさんのリクエストがあり、1年間楽しみに待った結果、実現しました。松田さんは仁瓶さんの奥様にレシピを聞き、何 度も試作を繰り返したそうです。

参加者からは、あっさり上品、繊細な味付けのおからに歓声があがりました。
「パンを合わせて和食を食べることは普通にしていましたが、パンにおからをのせるという発想が今までありませんでした。そのおいしさ、驚きました」(女性)とのアンケート結果も。

ワインは松田さんのリクエストにより、ロデヴの町があるラングドック・ルーション地方の赤と白コトー・デュ・ラングドックcoteaux du Languedoc, domaine de malavieilleを日仏さんに用意していただきました。
またチーズも今回は「和」にそったもの。当会理事羽鳥裕子さんのセレクションで、清水牧場「バッカス(大型硬質チーズ)」、「プティニュアージュ(フレッ シュチーズ)」、「ヨーグルト」、さらにはほのかな桜の香りのする「さくら(共働学舎新得農場)」が、美しいプレゼンテーションとともに振る舞われまし た。


他にもたくさんのご協力、ご協賛をいただきました。
なすのオランダ煮、おかべあんかけ(「西村屋ダイニング」嘉数料理長)
豚の形をしたリエットと和の素材、七味・桜・筍と木の芽と白味噌のソーセージ(京都「リンデンバウム」吉田シェフ)

乳酸菌を使ったサラミ(長野・丸山氏)
南仏クレルモン・レロー組合のオリーヴオイル・トラディッショナルブレンド(オリーヴ・ド・リュック)
ホンジュラス産コーヒー「ミラ・ヴァージュ」(創作珈琲工房くれあーる)
昔製法で作られた濁り酒「元和夢幻の酒」(賀茂鶴酒造・一本松雅子さん)


さて満腹になった後は仁瓶さんの講義が始まります。昨年秋の講習会に続き、固くなったパン・ド・ロデヴで作るパン・ペルデュ(今回はいちご味バージョン)とコーヒー(創作珈琲工房くれあーる提供)をいただきながら。
午前に続き、フランスでのパンの歴史をからめながら、仁瓶さんのパンへの熱い思いが語られます。



「たまにはおいしいものをみんなでワイワイ言いながら、みんなで大きいパンを分けて食べる。おいしいというのは幸せの根っこにある言葉ではないでしょうか」の仁瓶さんの言葉には、まさしく今日のこの会の良さや意義が当てはまります。
「今の流行は1ポーションを小さく焼いたもの。見た目は可愛くなるかもしれないが、パンというのは本来大きく焼いて分け合うことです。本来パンというもの は、大きくしっかり焼くことだと思っています。そのパンからでてくるおいしさというのは小さいものとは全然違うはずです」。
仁瓶さんの熱意や心意気に共鳴するたくさんの方々の協力、協賛によって、楽しい時間を参加者のみなさまと共有することができました。深く感謝しています。今後ともこの輪が広がっていきますように。

 写真提供:田嶋哲カメラマン
(報告:塚本有紀)



■「食べて楽しむ会」開催  ブロートハイム「カフェ・ゼーバッハ」にて
2014年3月5日(report7)

同じものを、おいしいね、といいながら食べる幸せ

三寒四温の寒に戻りそうな雨の落ちる夕べ、またまた、熱い会が始まりました。
今回は、ロデヴの町から1時間余りのモンペリエ出身というリュック・ドゥマンジュ氏が出席してくださり、「ロデヴにバターもいいのですが、ぜひ、空気感も 含めてその土地の食文化という視点でも見てほしい」と、おいしいオリーブやオリーブオイル+塩とともに、という提案をいただきました。



「ロデヴを食べて楽しむ会」の魅力は、なんといっても作り手がそばにいて、今日のパンについてお話ししてもらえることです。
明石さんによると、「もともとルヴァンのパンの味に納得していなかったのが、このロデヴに出会って、ひとつ答えが見えたような気がして10数年、作り続け ています。これはレコードとCDのようなもので、研ぎ澄ませて作り上げたCDの音はきれいだけれど、レコードはその他のものも抱き込んだ奥行き、深みがあ る。このパンは、そんなイメージかなと思って作っています。」
さらに、作り方、配合、粉の特質など、話はパンを作らない人にも分かる、けれど深みを感じさせて納得感と興味はさらに高まりました。



食事は、赤白のワインに熟成度の違うコンテやクリーミーウォッシュなどのチーズ、マッシュルームのポタージュにはクルトンにしたロデヴも登場、最後のノア入りロデヴはコクと風味の楽しさを、
フリュイはまるで完成されたデザートのような甘みと酸味を芳醇に感じさせてくれました。


「3日に一度、こういう会があると元気に会社に行けるのに」(女性)、「美味しいものを食べると本当に幸せな気分になるものですね」(初参・加男性)、 「同じものが好きな人が集まっての食事会は、お話も弾みますね」(女性)、「今日のは特に美味しいです! もうそれだけで大満足」(女性)、「南フランス 的な食べ方が新鮮でした。自分の目、舌に叩き込んで、自分でも作れるようになりたいです」(男性)
などなど、たくさんの「楽しかったぁ」の声をいただき、にぎやかに21時の解散となりました。
 ベッカライ・ブロートハイムのパン・ド・ロデヴ。地元のお客様がここまで食べ続けて育ててくださいました。これから、さらに発展し、多くの方々に楽しんでいただけますように。



(報告 松成)



■仁瓶技術顧問による、技術講習会と食べて楽しむ会 開催
第3回技術講習会と第6回 2013年10月29日(report6)


 発足からちょうど1年、発足式と同じ10月29日に2013年度の最初の技術講習会と食べる会を行うことができました。場所は新宿・カネカ食品のラボ、講師は技術顧問の仁瓶利夫氏です。

 今回の講習も募集開始からほぼ24時間で席が埋まる人気ぶり。仙台や青森、愛知県からも参加者があり、熱気に包まれます。今回は、ロデヴの町でみかける、 ねじったタイプも多く作られました。こうすることで生地にはテンションがかかり、むっちりした食べ口に。また端がでる率が通常タイプ(四角)よりも下がる ため、大勢に供するケースに向くという利点があるとの説明が仁瓶さんよりなされました。たくさんの職人さんも頷かれることしきり。たとえばホテルの婚礼で 特別なパンとして、職人が手切りで供してもよいのではないかとの意見もでました。

 さて食べる会の料理を用意してくださったのは、食べるよ会員の岡野智子さん(アトリエ・カフェ・フィグ代表)。「秋のお総菜」をテーマに、鴨ごぼう
、おから、きのこやれんこんを使った サラダなど、野菜たっぷりの色鮮やかな料理が提供されました。味付けには、パンと同じ「発酵食品」である、塩麹や醤油麹などを使ったそうです。また茸の スープはプチメックの西山逸成さんによるもので、テーマは同じく「秋」。


さらにロデヴが進みます。また静岡の内田一也さん(創作珈琲工房/カップオブエク セレンス審査員)がコーヒーを提供してくださり、ロデヴと香り高いコーヒーの組み合わせも味わうことができました。


 ところで仁瓶さんよりサプライズで提供されたのは「ロデヴを使ったパン・ペルデュ」。フランボワーズの酸味と相まって、絶妙なおいしさです。さらなるおいしいものの登場に、参加者からは歓声が上がりました。

《パン・ド・ロデヴのパンペルデュ》
・パン・ド・ロデヴの固くなったもの 100g
(小指の爪先くらいにカット)
・シロップ(水100%砂糖50%)100g
・ボワロン社フランボワーズ冷凍ピューレ(15%加糖)  80g
・クレームダマンド(バター40g、砂糖40g、全卵40g、アーモンドパウダー40g、ラム酒少々)160g
・チョココーティングしたマロングラッセ
(ブロークンのマロングラッセ。クーベルチュールを生クリームで溶かしたものをマロングラッセにコーティング)

耐熱皿にフランボワーズ入りシロップにパン・ド・ロデヴの小さくカットしたものを浸し、充分吸うまで置く。耐熱皿に入れて平らにし、クレームダマンドを絞る。
170℃のオーヴンで表面が焼き色つくまで30分くらい焼く。
冷めたらチョココーティングしたマロングラッセを飾る。

フランボワーズ以外にもカシスやミルティーユなど、マロンと合いそうなもので試してみてはいかがですか。
仁瓶利夫