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(2014年度)


■第13回「パン・ド・ロデヴ技術講習会」と第23回「食べて楽しむ会」開催
鹿児島の会
2015年10月26日(月)

パン・ド・ロデヴ普及委員会3年目の締めくくりに、明石克彦技術顧問による講習会と食べる会を鹿児島で開催しました。受け手となってくださったのは鹿児島 で4店舗を展開する人気ベーカリー「ベッカライ ダンケン」店主の正浩一郎さんです。一昨年、昨年と熊本での講習会にはいつもスタッフとともにご参加くだ さった上で、満を持しての鹿児島での開催。会場は同店の谷山店です。



前日の夕方から仕込みが始まりました。当日は鹿児島だけでなく、熊本、福岡、宮崎など九州各地からブーランジェが集まり、講習会がスタート!
明石さんはロデヴを「これほどの感動を人に与えることができるパンは100年に2個か3個しかでてこない」と断言。難しさもじつは同じレベルで、自身もい まだに悩みつつ、苦しみながら、だからこそ心底おもしろいともおっしゃるのです。パン屋になって本当によかったと実感できるのだ、とも。講習会では、参加 者に「パンって本当におもしろい」と思ってもらえるようにと準備されたアイテムは、ロデヴとその対極にあると思われるドイツパンのカイザーゼンメルの2つ のパンです。




つまり種と少量のイーストの併用、95%もの吸水、捏ねない、長く保つパンであるパン・ド・ロデヴと、55%吸水で、強めのミキシング、液状の油を使い、 老化が早いパンであるカイザーとの作り方、風味、味わい、食感などの対比をお見せしようというわけです。またロデヴ作りのポイントであるミキシングとパン チについても、とくに詳しく解説が加えられ、実技が披露されました。

カイザーとの違いはまったく一目瞭然で、参加者は食い入るように明石さんの手許を見つめ、その違いを見て、聞いて、触って、食べて体感していました。

 パンが焼きあがったら、いよいよ午後からは食べて楽しむ会です。

午前中のブーランジェに加えてたくさんのお客様が見えて、総勢30名を超える賑やかな「食べて楽しむ会」がスタートしました。

 冒頭の挨拶は、代表理事の松成さんによる好例の「パン・ド・ロデヴ、ご存じでしたか調査」から。参加者に手を挙げいただいた範囲ではパン・ド・ロデヴを 知っている人が7割、食べたことがある人もほぼ7割という結果です。この日がちょうど「これ一冊でわかる パン・ド・ロデヴ」(旭屋出版)が全国の書店に いっせいに並ぶ日にあたり、鹿児島にて出来たての本の初披露となりました。会場は一気にお祝いムードに。この日の参加者が軸となっていただき、九州でのロ デヴ普及の起爆剤となっていただけるように期待が持たれます。
 明石さんは「今日はアウェイでのパン作りで最初はとても難しかったが、結果的にはなかなかうまく焼けたんじゃないかと思います」とロデヴをかかげ、満面の笑みでご挨拶されました。



 料理をご用意くださったのは、ダンケン傘下ホテルメイトにある「バッケン」店長の上ノ原さん。(ちなみにこのホテルでは、朝食に焼きたてのダンケンのパンと温かいオーヴン料理が食べられて、幸せな1日のスタートを切ることができます!)



おいしいロデヴにおいしい料理を満腹になるまでいただきました。またスタッフの方々は全員がてきぱき動いてくださ り、細やかなサービスで支えてくださったことも印象的でした。最後に店主の正さんが「昔、本で読んで勉強し、ずっと憧れていた明石さんに自分の店に来ても らって、こんなふうに直接に指導を受けられたことは本当にうれしく、ありがたい。スタッフにとっても大きな財産になった」と挨拶されました。

 ロデヴの会は、とうとう九州の南端にまで行くことができ、感慨深い一日でした。熊本からお手伝いくださった関係者の方々のご助力もあり、無事開催できましたこと、感謝の思いでいっぱいです。
報告 : 塚本有紀



■第12回「パン・ド・ロデヴ技術講習会」と第22回「食べて楽しむ会」開催
大阪の会
2015年9月2日(水)

暑さもようやく峠をこした9月、大阪地区で初めての場所、カネカ食品西日本支社のラボで、技術講習会と食べる会を開催しました。
今回の講師は、普及委員会設立当初から作るよ会員として自店でもロデヴを焼き続けているラ・バゲット・ド・パリ ヨシカワの吉川崇さん。吉川さんは2005年のクープ・デュ・モンドの日本代表選手としても活躍された実力派です。
当日は、配合と工程それぞれに隠れている意味、材料の理由、生地の中で起こっていること、そして作り手ごとに描く思いの違いなどを、たんたんと、理論的に分かりやすく、詳細に解説されました。



「ぼくは、仁瓶さんがフランスのMOFに教わったレシピをさらに突き詰めて日本に持ち込んだと理解しています。したがって、ここまで洗練されたレシピを、 配合を、変える必要はないと考えるにいたりました。でも、じゃあ、他のシェフが作る意義はどこにあるのか、といったら、ルヴァンの存在だと思うんです。ル ヴァンは店によって違う。したがって最終的にそれぞれ違った味や香りをロデヴに与えるのです」
と話されました。


今回のロデヴはプレーンと、フリュイ(くるみ・レーズン、レモンピール)の2種類でした

 ロデヴの会初ビューとなった吉川さんの応援に駆けつけた技術顧問の仁瓶さんは、終始、遠巻きに見守る姿勢。ロデヴだけをテーマにしているこの会で、午前 も午後も講師を務めることになる吉川さんが、話のねたに困らないかと案じる事務方に対しても、「吉川は、大丈夫」とまったく動じず、事実、吉川さんは午後 の食べる会でも、すらすらとご自身のロデヴ論を食べ手に分かりやすく展開されていました。


午後1時からは、いよいよ食べる会のスタートです。司会を委員会事務局長の塚本有紀が務め、会場のことでいつもお世話になっているカネカの山崎隆二さんから乾杯のご発声をいただきました。



ところで「食べる会」の心強いサポーターのお一人に京都左京区から駆けつけてくださったシャルキュトリ・リンデンバームの吉田英明さんがいらっしゃいま す。前回の神戸の会に引き続いてたくさんの伝統的なパテや、豚をはじめとして鴨や鯖のリエット、またアルザス地方のソーセージ6種をご用意くださいまし た。




さらに、シャルキュトリを盛りたて、ロデヴを盛りたてるオリーブ、コルニション、タプナード、マスタード、オリーブオイルなどをふんだんにご提供くださっ たのがオリーヴ・ドゥ・リュックのリュックさん。当日はご都合でおいでになれませんでしたが、いつも「自分の故郷モンペリエに近いパンだから、応援する よ」と協力してくださいます。

そのほか、3種類のはちみつにバター、さらにチーズは8ヶ月熟成のコンテと、程よく芯まで熟成したブリー・ド・モーが並びました。





食事の途中には、吉田さんによるミニ「シャルキュトリ講座」も開催。鯖でも豚肉でも家庭で出来る方法を伝授していただきました。
最後のデザートは、ロデヴを使ったフレンチトーストのバニラアイス添えです。
「たくさんの味を足して作るものではありますが、それでもベースのパンが美味しくないと、絶対美味しいフレンチトーストは出来ない」と言い切った吉川さんの言葉に、みなさん大きくうなづいていました。

今回のアンケートには「吉川さんの説明が、たいへん分かりやすかった」という声が多くありました。仁瓶さんと全く同じレシピであっても、語り手が変われば視点が変わることが示され、作り手にとっても食べ手にとっても、いっそう奥行きの感じられた会になったようです。


写真協力: 田嶋 哲カメラマン
報告 : 松成容子


■第11回「パン・ド・ロデヴ技術講習会」と第21回「食べて楽しむ会」開催
活動報告
神戸の会
2015年8月4日(火)

日本中が猛暑と戦う2015年の夏、春から延期になったロデヴ・神戸の会を、今年も日仏商事のラボをお借りして開催しました。
 技術講習会の講師は、当会技術顧問の仁瓶利夫さん。いつものように、実演しながら「昔のフランスのパン職人の手仕事」や「水を注ぐための容器バッサンが 語源となって今日のバシナージュという言葉が生まれた」という話、さらにはロデヴの形の変遷に触れ、「必ずしも切りっぱなしでないといけないわけではな い」など、小さな誤解を次々に解いていきました。


今回のパンはロデヴ(プレーン、サルタナ&くるみ)と、リュスティック(プレーン、アプリコット&くるみ)

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午後は、にぎやかに食べる会です。
しかし、今回はまず、みなさんの好みのパンを知りたい、と仁瓶さんが前日から用意したロデヴを含めて8種類のパンの食べ比べからスタートです。ランチにす きっ腹で来てくださったみなさんは、全身を味覚センサーにして、製法の違いによるフランスパンの貴重な味体験をしました。





続いては、当会の理事であり、株式会社フェルミエ代表でもある本間るみ子さんと、日仏商事株式会社の長谷部智子さんによるチーズとワインのセミナーです。



チーズは左下から時計回りにロックフォール、ブリ・ド・モー、ボーフォール・エテ、クロタン・ド・シャヴィニョルが用意され、ワインは白はシニャン 2012、シュヴェルニー・ピュール2013、赤はVDFキュヴェ・ウルトレイア2012とボーヌ・サン・ヴィーニュ2002。





チーズに添えられたもの(中央)は濃厚なドライフルーツの味を生かしたベラベッカ。赤いゼリー状のものは、かりんと砂糖だけを煮詰めたもの。京都のパティスリー・エスの中元修二氏から、チーズに少しつけてみてください、と提案がありました。



また、リエットと、鶏のレバーやブルーチースの個性を生かしたパテは、去年に引き続き京都リンデンバウムの吉田シェフによるものでした。

パンだけでなくチーズやワイン、スイーツ、シャルキュトリーと、基本的な食文化が一堂に会した熱い会は、予定の時間を大幅に延長しつつも、いつまでも別れを惜しみあう人々の笑顔に包まれていました。

写真協力: 田嶋 哲カメラマン
報告 : 松成容子


■第20回「食べて楽しむ会」開催
活動報告
横浜の会
2015年7月28日(火)



 今回もあっという間に席が埋まってしまった、横浜「ベッカライ徳多朗」での食べる会が行われました。今年も徳永久美子さんがスタッフの方々と精力的にパ ン・ド・ロデヴと料理をご用意くださいました。まずは久美子さんの「最初は1/2個から売り始めましたが、最近人気で、1個丸ごとでも売れるようになりま した。ただおいしいものをお客さんに食べてほしいという情熱だけで突っ走ってきました」とのご挨拶に、たくさんの人がうなずきます。






まずはロデヴによく合うトマトクリームチーズ(手前から右回り)、メキシコ料理の豆ペースト「フリホレーフリートス」、なすのオイル漬けの3種。

鶏胸肉の塩レモンペースト&スパイス焼き 
しばらくスパイスに漬け込んだ鶏肉を、ロデヴを焼いた後の捨て窯で焼いたのだそう!
ちょっとハムのような食感になっていて、下に敷かれたナンプラードレッシングのキャベツとの組み合わせが新鮮です。


南インド風カレースープ、プルーンのピュレ入り。

たっぷりのジャム、アプリコット、ブルーベリー、フランボワーズも。デザートはロデヴを使ったロデヴ・オ・ザマンド。ラムが香ります。


 参加者の自己紹介タイムでは、「父親におかずを作ってもらい、ロデヴとともに会社に持参。月一回同僚の男の子達にロデヴを食べて貰うランチ会をしてい る」、「時間は作るもの。プロなら時間のせいでロデヴが作れないなんて、言ってはいけないと思う」、「私にとってはロデヴとは、たとえるならヒートテッ ク。新しい発想にひっくり返された。もう『それ以前』には戻れない」などなど印象的なお話がいっぱい。そして、たくさんの人が「久美子さんのパンが大好 き、久美子さんの料理が大好き」と付け加えられます。ロデヴに惚れ込んでいる徳永さんのパッションが伝わったのは、どうやらみなさん同じようです。
 今年も徳永家のお嬢さんとたくさんのスタッフの方々が温かく、きびきびと、そしてとても楽しそうに動いてくださいました。そういえば去年の食べる会に参 加された方が、今はお店でスタッフとして一緒に働いていらっしゃるのだそうです。ロデヴとお店の求心力の強さに驚いたり、納得したりの1日でした。

報告 : 塚本有紀



■第19回「食べて楽しむ会」
活動報告
2015年6月30日 富山の会



 今回は北陸新幹線が開通したばかりの、富山県高岡市で「食べて楽しむ会」が行われました。受け手となってくださったのは、食べるよ会員の鍋谷安津子さん と今井武文さんのご夫妻です。素敵な日本家屋の一角が鍋谷さんのギャラリー、同じ屋根の下で通路を挟んだ反対側が今井さんのおそば屋さんです。

この建物、なんとご夫妻が1年半かけて自分たちで建てられたもの。木をふんだんに使ったシックな佇まいに目を見張らされま す。食べる会の会場はおそば屋さんのスペース「蕎文」です。柿渋の塗られた扉、土間、一枚板の机に、天井から差し込む淡い光。不思議とロデヴがよく似合い ます。

 参加者は委員会の会員さんが横浜から愛知県から。地元のお客様は若いパン屋さんや料理店主、建築家、陶芸家、お家でパン作りを楽しむご夫妻など、多様な 顔ぶれですが、みなさんおいしいものを食べるのが好きな人ばかり。おそば屋さんのテーブルと厨房を目一杯使って、総勢30名の会となりました。

パンを焼いてくださったのは、ドンク仁瓶さん。2日前から高岡に入り、ドンク高岡大和店での仕込みは、若い職人さんたちを指 導しながらです。パン・ド・ロデヴ(細長いスタイル)、パン・パイヤス(くるっとねじったタイプ)、そしてリュスティック。また胡桃とレーズンを入れたロ デヴとリュスティックも焼かれました。今回はとてもマイルドでやさしい味わいです。まずは仁瓶氏からパンの説明がなされ、じっくりとパンだけを味わい、食 べ比べます。そして高岡の地でたくさんの方々と食べる会ができたことを祝って、乾杯です。


 料理を担当してくださったのは、富山市「オステリア佐藤」の佐藤靖浩シェフです。テーマは「富山のおいしいものとパン・ド・ロデヴ」。店のスペシャリテ 「牡蠣の燻製のオイル漬け」は絶品! 白魚のオリーヴ油煮、チャンボッタ(ナポリのラタトゥイユ、じゃがいも入り)、たことオリーヴのスペーディーニな ど、どれもこれもおいしくて大評判でした。

 富山で集まってくださった方々のパン・ド・ロデヴの認知度は、「今日が初めて」の人は意外に少なく、「聞いたことはあるけど、食べたことがない」と「食 べたことはある」が、半々ずつくらいでしょうか。でも今回供された当会技術顧問のパン・ド・ロデヴのおいしさにはみなさん、きっとびっくりされたことで しょう。仁瓶氏からは、パンの歴史をからめたパン・ド・ロデヴのお話がありました。


 高岡店と富山店のドンクの職人さんがせっせと用意してくださったパン・ド・ロデヴのお土産を手に、みなさん楽しげに帰宅されました。

 受け手の鍋谷さんは「ぜひ残る会期(7年)のうちに、もう一度高岡で。そのために、みなさんぜひ声を大にして、呼びかけてください」とお話しくださいま した。そもそもはかつて鍋谷さんが、ご自身のギャラリーで「いつかロデヴに合う器の展覧会ができたら」と熱くお話しになっていたことが、今日につながった のでした。富山の地でもおいしいロデヴがたくさん食べられる日が来ますように。そして参加者のみなさんには作り手に「ロデヴ、ありますか」とどんどん働き かけてほしいと願っています。
 (報告: 塚本有紀)



■第10回技術講習会と第18回「食べて楽しむ会」
活動報告
2015年6月22日  東京の会

6月に東京で、金林達郎氏を迎えての技術講習会も今年で3回目となりました。すでに沖縄は梅雨明け宣言がされたものの、関東は梅雨のど真ん中。それでもこの日は何とか雨は落ちることのない曇り空でした。

会場はいつもと同じ、大都会の高速道路沿いに立つビルの6階の、重厚な木製の扉の中にあるカネカ食品株式会社のラボです。
朝8:30の開始を目指して都内はもちろん、名古屋、静岡、千葉、神奈川の各地からたくさんの方がお見えになりました。

金林さんのロデヴ作りは、街角の個人のパン屋さんが、日々の工程を大きく変えないで、作る量も数個ずつから始めていけるという現実的な方法です。

生地作りは、通常に仕上げたフランスパン生地の一部にルヴァンと水を足してロデヴの生地に仕上げていく方法です。生地が少量な ら、分割方法も、その前の発酵させるときの一塊の生地量から考えておかないとなりません。そんなコツをこまやかに、参加者を巻きこみながら伝えていまし た。


途中、ロデヴの町のこと、歴史の逸話とパンの関係などを、事務局で今まさに「ロデヴ本」を書いている塚本有紀がお話しする一幕もありました。

午後の「食べる会」は13:30スタート。
自由な形に仕上がったロデヴは今日もつややかな内相を見せ、新たまねぎのポタージュ、サラダ・ニソワーズ、太きゅうりのサラダ、京都「リンデンバウム」吉田シェフの3種類のソーセージたちとともに食欲をそそります。

「堅い皮とほのかな酸味は、よくかむことで唾液を出させる意味がある」と金林講師。
続いて当会代表でNPOで食育活動もしている松成容子が「今どきの食卓事情」と題してスピーチしました。
「食卓を囲む文化は動物の中で人間しか持っていないのに、家族や仲間と一緒に食べる回数は減っている。NHK出演時もそのことには言及できないほどそれは 抗いがたい現実となっており、食卓を囲む以外に家族の関係性を保つ方法を考えなければならない時代になっている。そんななか、一人でもできることは一生懸 命食べることに頑張ること。そこから味のこと、作り手のこと、農業のことまで、しっかり考えていく。その大人バージョンがこのロデヴを食べる会」と話す と、金林氏も続けて、失われつつある日本の美しい食文化、マナーなどについて熱弁をふるっていました。
(報告: 松成 容子)


■第9回技術講習会と17回「食べて楽しむ会」開催
活動報告
2015年5月12日(火曜) 熊本の会


熊本は台風6号の影響を受けて朝から土砂降りでしたが、九州では昨年に続き2回目の技術講習会がスタートしました。講師は仁瓶利夫氏。株式会社丸菱の広い 敷地内に、独立して建っているラボをお借りしました。早朝8時開始にもかかわらず、北は福岡、南は鹿児島まで、たくさんのパン屋さんがご参加くださいまし た。

パンの仕込は丸菱スタッフの協力を得て、前日より行われました。ロデヴ、くるみとレーズン入りのロデヴの他にも、冷蔵法とディ レクト法のリュスティックが披露されました。作り手からは、これまで手探りで作っていたものが少し見えたような気がするといううれしい感想も聞けました。

(仁瓶さんのクープ入れの作業は神業なみの早さです!)




さてお昼を過ぎて、食べて楽しむ会が始まりました。
そのまま残ってくださっている作り手の方々だけでなく、パンの販売職にある方、パン店の店主ご夫妻、今回料理を担当くださった南阿蘇「めるころ」原田さんのパン教室の生徒さんなどなど、さまざまです。


今回のランチボックスには、原田家特製ラタトゥイユ、丸菱さん提供の生ハム、横浜「徳多朗」徳永久美子さんのパテ・ド・カンパーニュが入っています。スープは2種、野菜がたっぷりの「春キャベツとパンチェッタのスープ」と「ミネストローネ」が用意されました。



午後のセミナーはまず代表理事松成によるチーズセミナーを行いました。


プラトーはコンテ、ブルー・デ・コース、ブリーにブルサン・アイユ。そして食べ方提案として、シェーヴルチーズのサラダを紹介しました。輪切りにした シェーヴルをロデヴのスライスにのせ、オーヴンで軽く温め、グリーンサラダに乗せて提供。シェーヴル特有の香りが柔らかくなり、また違ったおいしさが楽し めます。



さて続くセミナーは「仁瓶利夫、フランスのパンを語る」です。


先日出版された「ボン・パンへの道」(旭屋出版)を下敷きに、フランスでのパンのあり方、昨今のパン業界事情など次々と興味深い話しが繰り出されます。 「世の中には頭でパンを食べる人もいますが、パンはおいしいと感じるから食べるもののはずです」と仁瓶さん。うなずくことしきりです。
一般の食べ手からは、「ザ職人」の仁瓶さんの話しが聞けて、パンをより一層身近に感じられて楽しかったという、ほほえましい感想が寄せられました。たしかにここに作り手と食べ手をつなぐ会としての意義があることを再認識しました。

九州地方では、まだまだロデヴ自体が顧客に知られていないと感じている人が多く、あるいは作り手自身も今回初めて知ったという人もありました。しかしパン屋さんで見かける機会が増えたという意見も聞かれ、裏を返せば、九州でのロデヴの今後が楽しみです。

講座も終わり、次回の九州でのイベントをお約束し、参加者が帰途につかれました。
すっかり片付けも終わったころには台風も通りすぎたようで、朝の雨が嘘のように晴れ上がりました。参加されたパン屋さんを核として、九州でもどんどんパン・ド・ロデヴが広がっていくことを願いつつ終了しました。
(報告:塚本有紀)


■第16回「食べて楽しむ会」開催
4月東京の会
2015年4月15日(水) 東京の会


今年は桜のあとに雪がちらつくほど激しい三寒四温に振り回される春。この日も東京は午後から嵐かも、と心配されたものの、“おいしいものパワー”に気圧のご機嫌も治ったか、予定通り平穏に18時、開催となりました。

会場は13ヶ月ぶりのベッカライブロートハイム カフェ・ゼーバッハ。

主役のロデヴは、同店の定番「プレーン」「ノア入り」「フリュイ(ノア、オレンジビール、サルタナ入り)」の3種に加え、明石氏提案の「丸ごとクルトン、 スライスロデヴ」。前回も好評だった根セロリとジャガイモのポタージュに、カリッカリのロデヴを差し込んでは手づかみでガリガリと食べる。あるいはバキッ と割ってポタージュに入れ込む。どちらも豪快で、みんなワクワクしながら口へ運び、噛み応えと、その後からやってくるうま味に十二分の笑顔を見せてくださ いました。

プレーン


ほかのロデヴ               スープのクルトンとして


「きょうのロデヴはまた、特別おいしいですね」という声に応えて
「きょう、3時半に焼きあがるように計算しました、つまり、いまが一番おいしいときなんですよ」
と明石さん。このレシピに出会ったエピソード、レシピを頼りに何度も捨てるほどのチャレンジをして今日のブロートハイムのロデヴがあることなどを語ってくださいました。
「それほどに、面白みのあるパンだ」ということも含めて。

料理は、前回もご協力いただいたリュック・ドゥマンジュ氏の提案も盛り込み、根セロリとビーツのサラダ、ディップ&ペースト類、ハム類、さらにチーズ数種にオリーブやコルニッション。




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パン・ド・ロデヴを主役にする会らしく、脇を固めるごちそうは、逸品なれどシンプルに。




なお、今回は「ロデヴを切るならこのナイフ」と、支えるよ会員としても協賛してくださっている
ビクトリノックス・ジャパンの石渡氏ほか2名の参加もあり、いっそうロデヴのようなパンと付き合う周辺文化についても理解が進みました。
熱い夜は、あっという間に時間が来て、みなさん「白飯感覚でパクパクと食べちゃいました。プレーのパンをこんなにたくさん食べたの、はじめてかも」「今 日、初めて食べましたが、中がとてもしっとりして本当においしかった。コンテとくるみのロデヴとの相性が最高でした」「ロデヴ、増えたと思います。ハード 系のパンでNo.1になると思います」など応援メッセージを残しての閉会となりました。
(報告:松成容子)


■第8回「パン・ド・ロデヴ技術講習会」と第15回「食べて楽しむ会」開催
11月東京の会
2014年11月11日(火)(report 15)

秋も深まりを見せ、気温が少しずつ低くなっていく11月、今年も東京のど真ん中にそそり立つビルの6階、カネカ食品株式会社のラボをお借りして、技術顧問の仁瓶利夫さんの、一年に一度となる東京でのロデヴの会を開催しました。

テーマは「秋」。いつものロデヴ、進化形ロデヴを交えながら秋色をまとった今回のアイテムは次の通りです。

<パン・ド・ロデヴ>
1) 細長い成形のロデヴの展開
 ・グリッシーニ風に焼いたものをサイコロ状にカットして、プロヴァンサル風味のソースをまぶしてから乾燥焼きしておつまみクルトンにする
 ・グリッシーニ風に成形したものを生ハムで巻く

「いつも生地の端が緩むので、それを生かしました。トリュデュにして手で締めるのも一つですが、きょうは細く伸ばして、また生 地の切断面がべたつくので丸めこみつつ、グリッシーニ風にしました。生ハムを巻いたのは、グリッシーニがイメージにあったので、前菜風に、ということで す」(仁瓶さんより)




2) 秋の新作
・栗の渋皮煮(自家製)とチョコレートを折り込み、焼き上げたもの
・クルミだけ入り(徳多朗アイテムを教えてもらって再現)

「甘く仕立てたのはコーヒーのおともの新作です。この渋皮煮は自家製で私も皮をむくのを手伝いました」
「クルミだけのものは徳永さんのレシピがもとですが、クルミの渋皮ごと使うので色も出ますが、料理に合わせやすいアイテムとして作りました」(仁瓶さん)

<パン・リュスティック>
1)ロデヴのクルトンと同じ作り方でリュスティック生地からのプロヴァンサル風おつまみクルトン
2)ノア・アプリコット入り
 


加えて、ベッカライ徳太朗 徳永久美子さんから「これがあると、もっとロデヴが食べられる」という食べ方提案もありました。
 ・オレゴン産プルーンのコンポート、ヴァンショー風味

・クルミのロデヴと合わせたい2種
  森のはちみつ&マスカルポーネ
 ラムレーズン入りリンゴジャム


今回のランチを担当してくださったのは、茨城県でベーカリー&カフェ『クルート』を営む大野聡 太郎さんと橋本理恵さんの、茨城の秋の味覚満載ボックスに、徳太朗さんからはパテ・ド・カンパーニュ、会からハム(大山ハム)、秋のチーズ(フェルミエ)、そしてラングドッ クのワインも添えられました。

<メニュー>
・サラダ(苦味のある葉物のサラダ)
 フリルレタス、赤カラシ水菜、ルッコラ、カステルフランコのサラダ(エストラゴンのドレッシング)
・色人参のテリーヌ  バジルソース
・笠間の栗と5種のキノコのテリーヌ
・さつまいもと干し芋のポタージュ(★ 以下にレシピ有)
・里芋のコンフィ バルサミコソース
・奥久慈 紅玉リンゴのタルトタタン
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□チーズ・・・サン・ネクテール、ブルードーヴェルニュ
□ワイン・・・スパークリング、赤、白(ラングドック)


さらに、静岡より「創作珈琲工房くれあーる」村松さんがおいしいコーヒーを淹れに来て下さいました。

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参加者からのリクエストが多かったレシピを公開!

さつまいものポタージュ ルセット
<材料>
さつまいも 100g
干し芋            50g
玉ねぎ            30g
塩                  少々
バター           少々  
牛乳、生クリーム お好みで。
<手順>
1) さつまいもは皮を剥いて繊維に垂直にスライス、干し芋は細切りに。
2 ) 玉ねぎをスライスしてバターで焦げないようにいためる
3) さつまいも、干し芋を加えて軽く炒める
4) 水を200ccほど入れ、さつまいも、干し芋がくずれるくらいに弱火で煮込む 途中水がたりないようなときは足す
5) 柔らかくなったらミキサーでペースト状にする
6) ペーストを牛乳で伸ばして最後に好みで生クリーム、塩で味を整える
  冷たくしても美味しいです。冷たくする場合は牛乳の量は増やしたほうがいいかもしれません。(橋本さん)
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食事の後は、しばし「ロデヴ」ばなし。
今回は、10月末に本を出版されたばかりの徳永久美子さんから、ロデヴと出会った衝撃、体調を崩しても再び厨房にと思わせてくれたロデヴのお話などをいただき、会場は一人の女性がここまで思って作るロデヴ、そして久美子さんの姿勢に拍手を送りました。
著作「もっとパンを楽しむ生活」(主婦と生活社)には、「パンがあると、こんなに食卓がおいしくできますよ」というパンを美味しく食べるための料理アイテムが満載。ロデヴもたっぷり登場しています。巻末には、仁瓶さんのコメントもあり。ぜひ、手に取ってみてください。



ロデヴは笑顔を作る「幸せの種」。
技術講習会でこれを学ぶ人は、幸せの種まき請負人。
食べる会でともに楽しむ人は、幸せの芽を共に育てるサポーター。

3年目は一層多くの人に見守られてのスタートを切りました。本年度もどうぞよろしく!

(写真:菅原史子 報告: 松成容子)


■新潟「ラ・ターブル」における仁瓶利夫氏による「食べて楽しむ会」開催
10月 新潟の会
2014年10月7日(火)(report14)

心配された台風がきれいに通り過ぎた翌日、新潟で初めての食べて楽しむ会を行いました。今回は新潟・新発田市「パ・ザ・パ」の岩城洋志さんが受け手となり、新潟市「ラ・ターブル」佐藤哲栄さんの全面協力を得て、食べて楽しむ会が実現する運びとなりました。

会場となった「ラ・ターブル」はJR越後石山駅近くの住宅街にあります。休日のお店が会場です。



台風の中、すでに前日から仁瓶利夫さん(当会技術顧問)が新潟に入られて、仕込みがスタートしています。



当日、お昼の賄いに、岩城さんの奥さん・ゆりさんが、郷土料理の「のっぺ汁」をふるまってくださいました。

かつおだしに、野菜やかまぼこ、銀杏などを煮込んだもの。しみじみおいしくて、新米のおにぎりも最高のごちそうでした。

夕方5時。新潟でのパン・ド・ロデヴを食べる会が始まりました。ずらっとロデヴが並ぶ様は壮観!




まずは仁瓶さんによるパン・ド・ロデヴのそれぞれの説明ののち、じっくりとロデヴを味わう時間です。当日仕込まれたものと前日からの冷蔵法で仕込まれたものは、その複雑みや香り、酸味の出方が少し違うようです。


試作品「栗とチョコ」のうれしいサプライズも。



ロデヴの会員の方々が東京から札幌から富山から、車で飛行機で。新潟のパン屋さん、お店の常連のお客様もご参加くださり、スタッフも含め30名もの賑やかな会となりました。


またたく間にパンが減っていきます。


ラ・ターブルのスタッフのみなさんが、総力でご用意くださったお料理の数々。

自家製のテリーヌ、色とりどりの美しいサラダ。



お店のスタッフ長谷川明美さん(チーズアドバイザー)セレクションのチーズのプラトー。

なかでもロデヴと、ロデヴの街に近いロックフォールに、阿賀野川産の蜂蜜の組み合わせが最高においしいものでした。

新潟県産牛すね肉煮込み(ドーヴ)とカスレ

日頃併設のカフェでだされている料理なのだそうです。
参加者には、お店から「今日の料理のレシピ集」がプレゼントされました。

「お家でもパンに合わせる料理を気軽に作ってほしい」とシェフの佐藤さん。お店のスタッフのみなさまのサービスはつねに温かくて的確。日頃お客様との距離が近く、よい関係を築かれていることが伝わってきます。

お客様は「美味しかった! 楽しかった」と満足気に帰っていかれました。新潟のパン屋さんも、「うちももっとおいしくなるように頑張ります」と帰って行かれました。
受け手となった岩城さんは「厨房の窓から、みなさんがにこにことパンや料理を召し上がっている姿を見られたことは、自分の大きな糧になる。素晴らしいシーンでした」とおっしゃいました。自分のロデヴが家庭で食べられている姿を楽しく想像しています、とも。


全面的に協力してくださったラ・ターブルの佐藤さんは、「大変だったけど、パンを作り続けていくうえでの宝となる経験でした」と言ってくださいました。新潟のパン屋さんが集まり、つながり、この輪をつなげていく、との力強い言葉も。
あらためて仁瓶さんと仁瓶さんのパンの求心力の大きさを感じます。
とても楽しい一夜でした。
ご協力いただいたみなさま、どうもありがとうございました! 心からお礼を申し上げます。
(報告:塚本有紀)